焼き払え、弱き者のために――。
ハイセルク帝国の滅亡――。 戦友も、故郷も、祖国である帝国すらも失った転生者・ウォルムは失意に沈んでいた。 夜となく昼となく酒場に入り浸り、ただただ酒気と紫煙に溺れる日々。 無為な時を過ごす一方で、大鬼王(オーガロード)の魔眼を移植した拒否反応により ウォルムの身体は着実に蝕まれていた。闘争の末に濁った瞳は遠くない未来に光を失う。 当座の治療費を獲得するためウォルムは、忌み嫌う戦争に傭兵として参加することを決意する。 そこで隣国の争いに再起を図る帝国の残滓も参戦するという噂を掴む。 ウォルムは出陣前の軍事演習を経て、ふたりの少年兵と行動を共にしていく。 彼らにかつての分隊員の影を重ね、時に振り回されながら感情を取り戻す。 どうしようもない郷愁と後悔を抱えながら。 そして、訪れる開戦の時――。 若き戦友たちと故国の同胞の危機を前に、 ウォルムは焼け付く眼の痛みに耐えながら、 封印していた《鬼火》の力を解放する。 亡国の転生者の物語、いま新たな展開へ――。 「小説になろう」が誇る戦記譚、第3集。