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洲央(すおう)
「みんな、よく聞いて。今日集まってもらったのはあたしたちの活躍が描かれた本の発売を記念して、その魅力を語って欲しいと思ったからなの」
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陽緒(ひお)
「なるほど。要するに本の宣伝をしようということですね!」
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琉羽(るう)
「ちょ、ちょっと陽緒、そんなふうに言ったら駄目!」
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洲央
「そうよ、陽緒ちゃん。これはできるだけ多くの人に本を手にとってもらうための巧妙なステマなんだから。そんなあからさまに言ったらよくないわよ?」
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琉羽
「お姉ちゃんもステマとか言ってるよ!?」
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洲央
「というわけだから、さあみんな! この本の魅力を語ってちょうだい!」
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カペラ
「この本の魅力、そんなものは決まっています! 魔王ハダル様のご子息であるリファイ様が大活躍されるところです!」
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リファイ
「よしてくれ、カペラ。照れるではないか」
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洲央
「はぁ? ちょっと何言ってるの? 全然違うんですけど」
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カペラ
「聞き捨てなりませんね。では、いったい何が魅力だというのです?」
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洲央
「そんなの琉羽ちゃんよ! 琉羽ちゃんがかわいい! それがすべてに決まってるでしょ!」
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リファイ
「なるほど。言われてみれば確かに、洲央の言うとおりかもしれないな」
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琉羽
「そ、そんなことないよ!? もっといろんな魅力があるよ!? その、リファイくんが、か、かっこいい、とか」
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リファイ
「そ、そうか。そんなふうに言われると面映ゆいが、琉羽の美しさの方が俺には魅力的だと思う。何せ琉羽の美しさときたら、どれだけ言葉を重ねてもまったく足りないほどだからな」
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琉羽
「ふぁっ!? リ、リファイくん、思ってることが漏れてるよ……!」
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リファイ
「む、しまった。だが、本当のことだから気にしないでくれ」
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琉羽
「ほ、本当のことなら……余計、気になるよ」
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洲央
「これは提案なんだけど、今から本編を全部、琉羽ちゃんのグラビアに差し替えるというのはどうかしら?」
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陽緒
「賛成です! 琉羽姉さまの魅力を余すところなく伝えるためには、それぐらいしなければいけないと思いますです!」
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琉羽
「ちょっと何言ってるの二人とも! 冗談はやめて!」
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洲央
「安心して琉羽ちゃん。本気だから。これから琉羽ちゃん撮影会を始めるから」
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琉羽
「全然安心できないよ!」
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リファイ
「こ、これは困ったぞ。琉羽の泣き顔は見たくないが、泣いている琉羽も美しすぎる……ってミルファ、どうして俺を囓(かじ)る!? そうか腹が減ったんだな? それなら――」
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ミルファ
「違う。リファイがわかってないから」
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リファイ
「俺がわかっていない? 何をだ?」
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洲央
「そんなのミルファちゃんも撮影会したいってことに決まってるわ!」
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ミルファ
「違う」
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リファイ
「なるほど、そうだったのか! ……って、違うのか? ……なあ、洲央。ミルファは違うと言ってるが」
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洲央
「大丈夫、そんなことを言うのは最初だけだから。撮影が始まればすぐに快感に変わるから! さあ、いきましょう、琉羽ちゃん、ミルファちゃん! これから二人の撮影会のはじまりよ!」
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琉羽
「ちょ、ちょっと待ってお姉ちゃん! 本編全部を今から差し替えるのはいくらなんでも無理だよ!?」
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洲央
「勇者の力を使っても?」
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琉羽
「勇者の力を使っても!」
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洲央
「なら、二人のちょっとエッチなグラビアで口絵を飾ることで我慢するわ!」
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琉羽
「それで我慢してるんだ!? というか、わたしエッチなグラビアとか恥ずかしいんだけど!?」
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洲央
「わかったわ。それならあたしも……ううん、陽緒ちゃんも脱ぐから安心して!」
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陽緒
「陽緒、条例に引っかからないギリギリのラインを狙ってがんばります!」
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琉羽
「全然わかってくれてないし、陽緒もそんながんばりはいらないよ!」
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洲央
「いいからいいから。ほら、いくわよ!」
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琉羽
「ちょ、お姉ちゃん、離して!」
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ミルファ
「きゃあー(棒読み)」
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リファイ
「みんないってしまったな……」
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カペラ
「リファイ様、大変です」
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リファイ
「どうしたカペラ、そんな慌てたような顔をして」
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カペラ
「本の魅力をほとんど語っていないような気がします!」
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リファイ
「そ、それはほら、あれだ!」
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カペラ
「あれ?」
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リファイ
「お、俺たちも撮影に立ち会うべきなんじゃないか!? ほら、いくぞカペラ!」
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カペラ
「さすが次期魔王であらせられるリファイ様。力業で誤魔化す手際、なかなかお見事。って待ってください、リファイ様ー!」