サマースコール

著:零真似
イラスト:あすぱら

第18回講談社ラノベ文庫新人賞受賞作!
余命わずかな少女と紡いだ、
儚くて愛おしいひと夏の青春譜。

雨音に包まれた、山の中のミュージアム。
忘れられたオルゴールたちと暮らすコウの前に、ある日、ひとりの少女が現れた。
赤く染まった髪、青く光る瞳、そして……泡を紡ぐ指先。
それは“人魚病”――いずれ、身体が泡となって消えてしまう病だった。

「――人魚姫って、呼んでくれてもいいよ?」

名前はユキ。すこし不思議で、すこし強がりで、とびきり眩しい“家出少女”。
雨宿りのように始まったふたりの時間は、やがて心のどこかを、そっと濡らしていく。
ひと夏の逃避行が奏でる、さよならのオルゴール。