離縁ですか、不治の病に侵されたのでちょうどよかったです

著:鈴木桜
イラスト:桜花舞

氷に閉ざされた心は、
真実の愛によって溶かされる――

アイリス は『氷の女』と呼ばれている。
とある侯爵家の一人娘として生まれ、クラム公爵マシューの妻となって数年、一度も笑ったことがないから。
良い夫婦関係が築けるはずもなく、時間だけが過ぎていたある日、アイリスがある病にかかっていることが判明する。

——『氷心症』。
はるか北国にいたという氷の魔女の呪いであり、発症から約1年で心臓が凍りつく死の病。

更にその診断を受けた数日後、夫のマシューからは離縁を申し渡される。
「不治の病にかかりましたので、ちょうどよかったです」
アイリスはそれだけを言い残して、公爵家を去った。

夫とはそれで終わり、……のはずだったのに。
なぜか、マシューはアイリスを追いかけてきて——?