「それで、美味いのか?」
「え?」
「魔物だ。美味いのか?」
「いえ、その、あの」
異食の魔物食ファンタジー、開幕!
伯爵令嬢メルフィエラには、異名があった。 毒ともなり得る魔獣を食べようと研究する変人――悪食令嬢。 遊宴会に参加するも、突如乱入してきた魔獣に襲われるメルフィエラを助けたのは 魔獣の血を浴びながら不敵に笑うガルブレイス公爵――人呼んで、狂血公爵。 血にまみれた姿を意に介さないどころか 魔獣の血は身体に悪いと自らを案じるメルフィエラに興味を持ち、公爵は尋ねる。 「魔獣に詳しいのか?」 「私は魔獣というよりは、食物に興味があるのです」 「食物、だと? お前にはこの魔獣が食物に見えるというのか」 「はい、もちろんです。食べるからには美味しくいただきたいですから!」 「なるほど、悪食令嬢とは言いえて妙だが、やはり噂は当てにならぬものだ」 メルフィエラの趣味に興味を持ったガルブレイス公爵は思わぬことを言い出して――! 異食の魔物食ファンタジー、開幕!